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ダフニスとクロエ

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ミレーの作品の中では、珍しい感じさえする。
農民と最下層の生活、信仰を支えた画家のイメージが強いせいだろうか。
この物語が三島由紀夫の「潮騒」の元になったというのも、なんだか妙なつながりを感じてしまう。おそらく、名画や古典のすばらしさは、実際とてもシンプルなテーマだからではないだろうか。
今の世の中のように、個性という名のもとで、イメージの世界が乱雑に敗退して、欲望だけがふくれあがった時代ではなかったからかも知れない。
イメージだけではなく、その奥に確かな人生の息吹が感じられるからかも知れない。
浅くないのだね、きっと。

ダフニスとクロエの物語が描かれたのが、2世紀頃だとすれば、21世紀の現代まで、語り継がれていること自体が、ほとんど奇跡的なものだと思える。
時代とともに廃れる、ディスポーサブルな「言葉」や「イマジネーション」。。。
リサイクルされることなど考えにくい。
流行というものが、いかに短命で流動的でうわっつらな世界か考えさせられる。

否定しているわけではない。
それらもすべからく必要なものだと想うから。
しかし、時には、こうして「本物」に触れる。
そういう時間もやはり持ち続けていきたい。

ダフニスとクロエに話を戻そう。
この二人の恋物語は、おそらく誰しもが恋をしたときの状態であると言えるだろう。
普遍的な恋の物語なのだ。
どんなシチュエーションにしろ、恋をした時に夢みるイマジネーションの全てがここにつまっている。

恋愛映画なぞ、自らすすんで見たことはないぼくだった。
昨年遅まきながら、本気の恋をしたぼくは、生まれて初めて「恋愛」について、真剣に考えた。
レベル5のタイフーン。。。
ぼくは今、災害復旧工事中。。。(苦笑)
by satsuki_ok | 2005-09-24 20:52 | 芸術?