馬小屋にて

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朝焼けの下の雲海を
ナナカマドの赤い実越しに
透きとおるスカイブルーの秋空が
心の中まで空かしてみせる
空っぽになったなら
山峰の初雪が白く輝く

男だとか女だとか
ちっぽけな水たまり

本当に求める魂の安らぎは
人であることすら越えていく

偽りなく労役に従事する
限りなく忠実なその瞳を見つめるとき
こころの中で炎がふるえる

ああ
こんなにも素直に
こんな風に愛せたら
ぼくの一握りの言葉でも
惜しむことはないだろう

穢れなく使役にこたえるその肩に
いったい何がふさわしいというのだろう

見つめ返して欲しいんだ
ただまっすぐに
何も遮るもののない
魂の充足へ向かって
折れ曲がって傷ついて
たたまれたままの翼でも
涙の雨で洗い流して
耐え難いほど美しい
そんな世界がみたいんだ

あの方の瞳が見えるだろう
あの方の血しぶきのぬくもりが
あの方の切り裂かれた痛みとシンクロする
魂の叫びが聞こえるだろう

馬小屋の中で
愛が産まれ
丘の上で一体となり
閉ざされた墓の中で完結する
マグダラのマリア

墓標に刻まれる言葉もなく
共鳴し続け生き続ける存在
憧憬と畏怖が混在する
感情がほとばしる
理性が踊る

あなたの過去がなんであれ
あの方の愛は変わらない
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by satsuki_ok | 2005-10-21 23:11 | パンの耳