Leben


by satsuki_ok

ソリチュードのはじまりの時

もう何年も前のような気がしてしまう。
あれが昨年のクリスマス・イブだったなんて、
とても思えないほど、遠くなってしまった。
充電を使い切った携帯電話みたいな一年だった。
あの頃の熱さも今では想い出すこともできないほどに
ひっそりとした想いだけがこの胸の中にある。

ただあてもなく
彷徨う気にもなれず
停車したままの駅
それでも行き交う人々が
すれちがう人々が
またふらりとたちよるだけの
小さな駅の売店を
ぼくは停車したままの列車の窓から
その人びとを眺めている
ことさらに熱くなることもなく
また冷たくなることもなく
眺めている
猛スピードで駆け抜ける新幹線が
目の端にかすめていく

車内では
子どもの声
老人の咳
恋人たちのひそひそ話
夫婦二人連れが弁当をひろげる音
風の音は聞こえない

あの日の君の言葉だけが
曇ったような頭の中で
何度も何度も繰り返されて
すり切れてとんでしまった

もうすべてが過去のことだ。
振りきるようにそうつぶやいたら
雨粒がぽつりとガラスに張り付いた。
そのまま斜めに横切る雨すじで
動き始めた列車のアナウンスに気がついた。
ソリチュードのはじまりの時。
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by satsuki_ok | 2005-12-10 20:21 | sensitive plant