秋の雨に思い出すこと

あれは、何年前のことだったかな。
職場にアフリカからの研修生がひとりやってきたことがある。
彼の国はイスラム教が主流であったため、
粗相があってはいけないと思い
初対面で彼に「イスラム教ですか?」と尋ねた。
ちょっと驚いた顔をして「いいえ、僕はクリスチャンです。」と彼はにこやかに答えた。
アフリカ人の割には背があまり高くなく、肌の色が違うことを除けば
2児のパパらしいむしろ日本的な落ち着いた雰囲気のただよう人であった。

あまり英語が得意でない私だけれども、
彼のイギリス英語は割と聞きやすく
宗教のこと、家族のこと、文化の違いや
なぜこの職業を選んだのか等々いろんな話をした。
時々お互いに辞書を引きながら(笑)

彼はまるで生まれたての子供のように
ありとあらゆることに興味を持ち、次々と理解を深めていった。
非常に柔軟な思考の持ち主だったと思う。

ある時、私が当時時々出かけていた教会へ一緒に出かけた。
普段はお互いあまり教会に出かけない二人であったけれど(笑)
「こうしてこの国で礼拝に行ったというと、ワイフは驚くだろうなぁ」といって笑っていたほどに。
「きっといつも奥さんや子供たちが祈ってくれているから、こうしていることが出来るんだろうね」というと、うなずきながらまじめな顔をして遠くの空を見上げていた。

彼が我が家に遊びに来たときがちょうどこの季節だった。
「電話使っていいよ」というと、本当にこころから嬉しそうに
「ありがとう」といって家族に電話をかけていた。
電話が終わると、娘が学校で一番の成績を取ったらしく
将来は教師にしたいのだと言っていた。
教師にして、いつか日本に来させたいとまで(笑)

半年ほど一緒に仕事をして数回家に遊びに来ただけの人であるけれど
彼は私と家族に大きなプレゼントを残してくれた。
肌の色が違っても住んでいる環境が違っても
心の交流は出来ること、そしてその思い出は消えたりしないことを教えてくれた。

私は思う、たとえネットの間だけであっても、同じことだと。
この画面の向こうには生きている人がいて
その人は自分とは全く違う世界に今いるとしても
こころの交流って出来るのだと。
先入観という縛られた枠組みさえもたなければ。

こんな秋の雨の日には決まって彼のことを思い出して
あったかい気持ちになれるんだ。
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by satsuki_ok | 2008-10-05 16:41 | ジジのひとりごと