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ちいさな世界

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ぼくが知ってる世界は
半径数千キロメートルに満たない
ちいさな列島の中で
そのまた半径数キロメートルの
生活圏の中で
毎日言葉を交わす人の数も
多くて数名程度の田舎町

そのまた小さな田舎町の中で
ぼくが暮らす家は
航空写真で見たら
小人の住むようなミニチュアハウス
終の棲家をはやく手に入れたくて
無理して買った中古住宅

庭の木は
一本、一本
小さな苗木を買ってきては
大きく育ってくれるように
成長した姿を夢みながら
穴を掘っては植えていった
時には
ちいさな野鳥が落としていった
タネと肥料で見る見るうちに大きくなった
きれいな実のなる木も数十本

DIYの店先で
枯れかかった花々を見つけては
譲り受けては庭に植え
生き吹き返すまで
そっと見守る毎日の暮らし

いつのまにかネコが
いつのまにかイヌが
家族のように暮らし始めていた

そんなちっぽけな世界の中で
さらに小さな箱の中から
大きな大きな世界が広がっていた
そこに広がる「ことば」と「画像」
誇張されたTVよりも
ナマの社会がそこにあった

ぼくは毎晩旅に出る
ぼくは毎晩美術を鑑賞し
ぼくは毎晩ライブに出かけ
ぼくは毎晩ショッピングし
そして時にはすれ違い
たまに寄り添ってみたりしながら
その社会を楽しんでいる

ぼくにとって
普段したくてもできない世界が
そこには溢れており
ぼくにとって
普段出会うことも
知ることすらもないような
そんな世界が広がっている

ぼくがことさらに純情なわけでもなく
ぼくが特別に不器用なわけでもなく
違う世界を生きてる以上
理解し合うのは難しくて当たり前なんだ

知り合うって
きっとそういうことをいうんだ
互いに話し合わないなら
それは関係ではないから
植物ですら応える意志があるというのに
ぼくには理解できない世界もあると言うことだ

知識と知恵は反比例するのかもしれない
道具の発達が思考力を低下させる
矢継ぎ早の情報で感受性が鈍化する
そんな世界を生きてるんだ

フリーになったのではなく
人は文明で限りなく窮屈になったのかもしれない
by satsuki_ok | 2005-12-18 20:12 | ジジのひとりごと